Story2 夏 出雲蕎麦×豊の秋 純米吟醸 花かんざし

武家屋敷通りに響く蝉の声

城下町の魅力は城そのものだけではない。松江城の堀川の北側沿い、その名も北堀町には武家屋敷が立ち並び松江でも最も城下町らしい面影を残している。

「塩見縄手」と呼ばれるこの通りには、明治時代に国内外で活躍した文豪「小泉八雲」の屋敷が現存している。

『怪談』に代表される彼の作品は不思議な世界観を生み出した。松江の風情や美しい自然に感銘を受け、「神々の国の首都」と呼び広く世界に紹介した。

身も心も江戸の人

国の史跡にも指定されている小泉八雲旧居を後にし、着物のレンタル店で浴衣を身に纏うと、もはや江戸時代の町を歩く町人の気分だった。

贅沢に昼からいただく蕎麦と酒

歩いていると、情趣を感じさせる素敵な蕎麦屋が目に留まる。せっかくの旅だ、昼からそばをたぐり、一杯いただきたい。

出てきたのは三段に重ねられた丸い漆器だ。出雲そばは、そばの実と甘皮まで挽いた「挽きぐるみ」と呼ばれるそば粉を使用する。そのため色が濃く香りと風味が強い。噛むほどに味わいが増した。

その時合わせたのは「豊の秋 純米吟醸 花かんざし」だった。その軽やかな香りとスッキリとした切れ味は、素材がもつ本来の繊細な香りや風味を際立たせ、より美味しさを広げてくれる。

ほどよく冷えた花かんざしが、蕎麦にキレ良く合う。そばを一すすりした後口に含めば、その軽やかな酸味で、そばの香りとダシの風味 をより一層深く感じた。

旨みを引き出す魔法の料理酒

店員さんから「そばのつゆに使われている出雲地伝酒と豊の秋の蔵元は同じ」という話を聞いた。
「出雲地伝酒」は、食材のうまみを引き出すのに絶大な効果を発揮する特別な料理酒だ。一度は製造中止となった幻の酒。その復活の過程にも興味がわいた。

登場したお酒など

  • 豊の秋 純米吟醸花かんざし

    軽やかな吟醸香と、ふっくらとしたお米の旨味が特徴の純米吟醸酒です。

    穏やかでひかえ目な味わいは、旬な魚の刺身や焼き野菜など、繊細な味をたのしむ料理と合います。

    冷酒であっさりと、常温では滑らかさとキレの良さを味わいいただけます。

  • 出雲地伝酒

    出雲地伝酒は、出雲地域で古くから特別な料理酒として使われてきました。

    濃厚な旨みと甘さ、そして独特の風合いがあり、野焼きかまぼこ・宍道湖七珍料理などに調味料として利用され、出雲の食文化に欠かせないものです。

    小料理屋などでしか味わえない「美味しさ」を自宅で再現するお手伝いができる特別な料理酒(調味料)。

    それが「出雲地伝酒」です。