蔵人は今

酒母と酵母

酒蔵はいま

前回の記事のときは今季最強寒波が到来していましたが、今回は4月並みの暖かさです。

 

さて、豊の秋では4種類の酵母を使い、すべて速醸酒母で酒造りをしています。

 

 

この酒母の造り方として、「速醸」とは別に「山廃」という方法があります。どちらも明治期に開発され酒造りが近代化されました。「山廃」の手法を開発したのは松江出身の嘉儀金一郎先生です。

 

そして酵母の話。豊の秋で現在使っているのは、きょうかい701号、きょうかい901号、きょうかい1801号、島根K-101です。

 

きょうかい701号は、上撰や本醸造酒に。きょうかい901号は、金五郎や雀と稲穂などの純米酒に。きょうかい1801号と島根K-101は、吟醸酒に使います。

逆に言うと、純米酒には発酵力の強い901号を、甘い香りが欲しい吟醸酒には1801号をなどという感じで使い分けます。

島根K-101は、吟醸酒用に使うきょうかい901号みたいな位置づけの酵母です。

 

酵母の名前の末尾につく「01」は泡なし酵母であることを表します。泡ありだった酵母から泡なしの酵母が発見されたことよって酒造りの生産性があがりました。この泡なし酵母が発見された場所が島根県の酒蔵なんです。

 

そういうわけで、きょうかい901号はきょうかい9号が元になっているわけですが、9号は現代の吟醸酒造りにインパクトを与えた酵母です。これを熊本で分離・培養したのが松江出身の野白金一先生です。

 

島根と酒の関わりというと神話の時代に遡りがちですが、じつは日本酒の近代化にも大いに関わっています。