蔵人は今

  • 梅酒を仕込んでいます

    酒蔵はいま

    4月に日本酒造りが終わり、5月に一息ついて、6月は梅酒の仕込みです。

     

    米田酒造の梅酒は、自社の日本酒と島根県産の梅、国産氷砂糖だけで造ります。

     

    日本酒は、梅酒のために特別に造っている酒ではなく、上撰や純米酒の原酒です。

     

    梅は、雲南市三刀屋町産と松江市八雲町産です。フレッシュで爽やかな香りと酸味の梅酒にするため、青くて固い状態の梅で仕込みたいので、集荷の連絡があったら即、集荷場に引き取りに行きます。持ち帰ったら即、水洗いして手作業でひとつづつヘタを取ってさっさと仕込みます。

     

     

    仕込タンクに、梅と氷砂糖を交互に敷き詰め、日本酒を静かに注ぎます。

     

     

     

    やっていることは家庭での基本的な梅酒作りそのものですが、家庭では20度未満のアルコールで梅酒を作ってはいけないのでお気を付けください。

     

    商品一覧ページ – 雲州 梅酒

    商品一覧ページ – 純米梅酒

     

  • そろそろ漬物用酒粕の出荷

    酒蔵はいま

    6月に入ると漬物用の酒粕を出すようになります。

     

    この酒粕は、昨年の11月から今年の4月にかけて造った酒(新酒)の酒粕です。

     

    酒粕は、しぼった直後から出荷するものと漬物用に熟成させてから出荷するものに分かれます。
    どっちも、もとはこのようにしてできた同じ酒粕です。

     

    漬物用に熟成させてから出荷するものは「踏込み粕」(ふみこみがす)と呼びます。

     

    しぼった直後の酒粕を空のタンクにためていき、人の足で空気を抜くように踏みしめて密閉・貯蔵します。なので「踏込み粕」といいます。
    その間に熟成が進んでしだいに柔らかくなり、赤味を帯びて、カラメルやナッツ、たくあん漬けのような香りが強くなります。

     

    この酒粕も、酒と同じように毎年同じようにいかず、「今年は柔らかい(硬い)ね」「色が付いてるね」「硬い粒があるね」という声をいただきます。

    毎年のお米が柔らかかったり硬かったりするので、それに合わせてお米が溶けにくいように、あるいは溶けやすいように酒の造り方を調整しています。また気温によっても熟成の進み方が違ってくるので、なんか去年と違うんだけど、ということも起こります。

     

    酒粕も自然に左右されるものと思ってみていただけると幸いです。

    米田酒造オンラインショップ
    「酒粕 (踏込み粕) 4kg」
    https://shop.toyonoaki.com/?pid=35966743

     

     

  • 夏の仕込み蔵

    酒蔵はいま

    蔵では火当てもすべて終わり、いつもなら6月の梅酒の仕込みまで束の間の落ち着いた時間を過ごします。

     

    蔵の中を横断していた蒸米搬送用ダクトなどの仕込み用の設備を解体し、一斉に洗浄を掛けたりして仕込み蔵は夏仕様に変わります。

     

     

    仕込み期間中は蒸米を広げて冷ますために使っていた場所です。

    夏のあいだ使わない酒造道具がなんやかやと集まってきます。

    ここは2階ですが、中には大きくて重いものもここに持ってくることもあります。

    かつては床板を外して、「アミダ」(阿弥陀車)という滑車的な道具を使って吊って上げ下げしていました。

    2枚目の写真左上にそれがありますが、車輪と車軸からできる形が阿弥陀如来の後光のように見えることから「アミダ」(阿弥陀車)と呼んでいるようです。

     

     

  • 火当てしてます

    酒蔵はいま

    蔵では火当ての作業が続いています。今年度搾った新酒を安全に貯蔵するためにとても重要な作業です。

     

     

    これは「蛇管」(じゃかん)という器具です。

    これを熱湯で満たした容器に沈めて、この蛇管の中に酒を通して加熱します。

     

     

    酒の加熱温度を67度をキープするように、長いときは3時間付きっ切りで監視します。

     

    蛇管から出てきた加熱されたお酒は殺菌されたタンクに送り込まれます。このとき蔵の中はお燗酒の匂いが充満します。

     

    タンクいっぱいまでお酒が入ったら密封して、タンクに水をかけて冷却します。

     

    このように加熱処理されたお酒は静かに熟成が進みます。

    これらの中から、夏を越した秋口に「ひやおろし」として商品化されるお酒があります。

  • R3BY 皆造とみりん仕込み

    酒蔵はいま

    4月8日、今年度すべての清酒のモロミを搾り終え、皆造となりました。

     

    今年はいつも使っている島根県産の五百万石が予想外に柔らかい年でした。米の柔らかい年は味が多すぎたり重い酒になりがちなので、吸水や追い水に苦労した年でした。

     

    またこの日は、みりんの仕込みを終え、甑倒しにもなりました。

     

    みりんは、米こうじと蒸したもち米をアルコールと混ぜることで造ります。

     

    まずタンクに溜めたアルコール(醸造アルコールや酒粕取焼酎)は外気温と同じぐらいの温度になっています。

    ここに米こうじと蒸したもち米(もち)を混ぜ込んでいき、仕込み直後の温度が45℃になることを目標にします。そのため、もちはかなりアツアツでなければなりません。地伝酒のようにダクトを使わず、人力でアツアツのもちを運ぶのでなかなかの大仕事です。

     

     

    この後も、ろ過や火入れ、蔵の片づけなどすることいっぱいですが、まずはほっと一息です。

     

     

  • R3BYの終盤、地伝酒を仕込んでいます

    酒蔵はいま

    11月から始まったR3BYの酒造も残すとこ半月(の予定)となりました。

     

    清酒の仕込みは終わり、ただいま発酵中で、搾りを待ちます。

     

    清酒の仕込みの次は、地伝酒の仕込みです。

     

    地伝酒も清酒と同じように酒母を造り、三段仕込みをします。大きく違うのは、米こうじが清酒の2倍、掛米がもち米、仕込水が清酒の約半分という大変濃厚な造りをするところです。

     

    少ない仕込水の中で蒸したもち米と米こうじを均質に混ぜるのは難しいので、米こうじを蒸したもち米にまぶしながらタンクに送り出します。

     

     

    蒸したもち米は、蒸し場から仕込みタンクまでの約40メートルを送風機による風の力でダクトホースの中を運ばれていきます。

     

    その日はある程度高めの温度で仕込む必要があったので、ややモチモチの状態で作業を進めていましたら、ホースの中で”もち”が詰まるトラブルに見舞われてしまいました。

     

    そんな感じで仕込んだ地伝酒は、これから約3ヶ月間じっくり発酵させてから搾ります。(清酒は3週間程度)

  • R3BY 酒造も佳境

    酒蔵はいま

    令和3酒造年度の酒造りも残すところわずかとなりました。ついこの前、初洗いだ、とか、初甑だ、とか言っていたのに今年最後の作業が増えてきました。

    そんな3月上旬は、純米辛口金五郎や、今年は超辛口となる夏の生酒の仕込みなどで忙殺されていました。

     

    夏の生酒や純米辛口金五郎は一本の仕込みで白米1500kgを使います。そしてすべて限定吸水します。この作業には3人の蔵人で延べ6時間を費やします。限定吸水ではない方法で同じ量を洗う場合、1人で延べ2時間半で終わるので、これは相当な労力です。

     

    10kgずつ、延べ150袋に分けた米を2分後ごとに洗米機に投入します。

    2分後、洗米機から出した米を一定の温度の水に漬けます。品種や精米歩合、用途によって水につける時間が異なります。水から引き上げたらすぐに脱水して目標の吸水率になったか計量します。目標の吸水率になるまで、秒単位で水につける時間を修正していきます。

     

    豊の秋の辛口は、辛口のわりに味わいも濃いめと言われます。そもそも出雲杜氏の造る酒は全国的に麹の使用割合が多いため濃いめのようです。その中でも豊の秋はさらに麹の使用割合が多いため、独特の辛口のあじわいが生まれるようです。

     

    がっつり造った麹の味わいを活かしつつ、なるべく水の量を控えてしっかり発酵させて濃いめの辛口を造るには、蒸米が溶け過ぎないように吸水を厳密にする必要があります。そのため、大変でも限定吸水という方法を選ぶのです。

     

  • R3BY 大吟醸 袋吊り

    酒蔵はいま

    2月中旬ごろになると、全国の酒蔵のSNSなどで「袋吊りしました!」という記事がたくさん流れるようになります。

    豊の秋でも同じころ大吟醸の袋吊りをしました。

     

    酒袋を吊るすことで、重力だけでモロミから酒を滴り落とします。余計な圧力がかからないので雑味が少なくなります。その分、そこから取れる酒の量は搾り機で搾るよりとても少量になります。

    滴る酒は、時間差で斗瓶に取り分けます。斗瓶ごとに滓の量がことなるので香りや味わいも微妙に違います。

     

    さらにその後は速やかに滓引きをし、瓶火入れをして酒質を安定させ、品評会に備えます。そもそものモロミの質もですが、搾った後の処理の腕も品質を左右します。

     

    全国の杜氏はこのようにして造った酒で品評会などで腕比べをしています。

     

     

  • 仕込後のモロミの変化

    酒蔵はいま

    仕込んでから1日後の様子です。水を吸った蒸米と麹がパンパンに膨らんでいます。

     

    上の状態から丸ー日後。酵母の発酵によって発生した炭酸ガスが、蒸米の割れ目から吹き出し始めました。

    まさにブクブク、グツグツと音を立てて泡立ちます。

    さらに丸一日後(仕込んでから3日後)。細かい泡で全面が覆われ、さわさわさわーっという音が聞こえてきます。これぐらいになると発酵による熱によってモロミの温度は仕込み直後から5~6度上昇しています。

    さらに丸一日後。泡はゆるくなって消え、表面はもう液体といった様子になります。炭酸ガスが弾けるピチピチシュワワワワーーーーーーーーという音が賑やかです。

    モロミはいつまで眺めていても飽きません。

  • 酒蔵の湯気は松江の冬の風物詩

    酒蔵はいま

    毎年11月から4月までほぼ毎朝8時から9時ごろまで酒造りのための米を蒸しています。

     

    その湯気が立ち上るのが遠目にもわかるのではないかと思います。

     

    松江日赤病院の病棟から見た朝の酒蔵です。ちなみに画面奥の山は嵩山(だけさん)と和久羅山(わくらさん)で、仏様が仰向けに寝ている姿に例えられます。

     

     

    そのころ中の人は、仕込みの準備に追われているので、客観的にその光景を見ることがありません。

    煙突の先端じゃないところから煙のようなものが昇っているのでびっくりする人もいるでしょう。煙突はかつて石炭などを燃やして窯の沸かしていた時の名残りで、今は使われていません。

    じつは昨年に続き今年も消防署に「火事だ!」と通報があり酒蔵がサイレンに取り囲まれました。