紅葉の城から堀川へ
秋の松江城は一年で一番美しいかもしれない。紅く色づいた紅葉と、黒い下見板張りの国宝天守との組み合わせは別格。
そんな松江城の天守閣から見渡した時に気になったのは、街中を流れているその水路を巡る船。「堀川遊覧船」という観光遊覧船だ。松江城の乗船場で遊覧船に乗り、ゆらりと堀川を流れる。堀川は江戸時代以降、松江城の防御施設であるとともに人々の生活に密着した川。
京橋のあたりを通ると、川沿いの家や店の窓から手を振ってくれる人がいた。人情味溢れるおもてなしに心も和む。
文化に触れる京店商店街
船がカラコロ広場乗船場に着いた。広場の方に目をやると京の都を彷彿とさせる素敵な町並みがみえる。
この「松江京店商店街」は松江の文化に触れることが出来る人気の観光スポットだ。特に気になったのが装飾品や器などの伝統工芸。夏に訪れた蕎麦屋の丸い漆器も見かけた。時間を忘れて見て回り、いくつかお土産を買った。
日が暮れると、川沿いの店も開き始める。京店商店街に隣接し料理屋が立ち並ぶ東本町は夜の町に姿をかえていた。吸い込まれるようにお店に入っていく。
大吟醸を食前に飲んでみる
メニューを開いて「豊の秋」の文字を見つける。一度食前にこそ飲んでみたい銘柄があった、「大吟醸 豊の秋」だ。いつも酒は食との組合せを愉しむが、大吟醸の繊細で芳醇な香りを楽しむには味覚の鋭い食前が適している。口に含み、しばらくすると果実酒のようなフルーティーな香りがゆっくりと広がった。爽快な酸との調和がとれたスッキリとした味わいは、豊かな香りに反し、切れ味よく、喉の奥へと通り過ぎていく。
ほのかな酔いが回るころ店主さんが出してくれたのは、宍道湖七珍の一つで特に逸品なもろげエビ。梅雨から秋の終わり頃まで味わえるこの地特有の海老だ。体長10センチ前後で皮が柔らかく、頭からそのまま美味しく食べることができた。
そして、最後はやっぱりシジミ汁。大きくぷっくり丸い身を汁と一緒に味わうと、旨みが体にしみわたった。
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大吟醸豊の秋
精魂の限りを尽くし、至極の技をもってしてはじめてできる酒、それが大吟醸です。
最高級の酒米「山田錦」を精米歩合40%まで磨き、吟味して徹底して低温長期発酵させ醸します。仕込みには冬の極寒の一時期を選び、精米以外には一切機械を用いず、昔ながらの酒槽で出来るだけ圧力をかけずに搾ります。
味わいは、口に含みしばらくすると果実酒のようなフルーティーな香りがゆっくりと広がります。爽快な酸との調和がとれたスッキリとした味わいは、豊かな香りに反し、切れ味よく、喉の奥へと通り過ぎていきます。